地盤に関するお役立ちコラム

COLUMN

2015.03.30

宅地の液状化についてのお話し 1

技術開発部

 こんにちは、技術開発部の村上です。

 4年前の東北地方太平洋沖地震では関東地区を始め宅地の液状化被害が多く目立ちました。本年4月からスタートする住宅性能表示制度の見直しでは地盤の液状化検討に関する内容が追加され、震災以降、宅地地盤の液状化検討・対策に対しての注目が集まっています。そこで、これからマイホームをご検討されている方が建物完成後に後悔することがないよう、地盤の液状化についての内容を大まかに3つに分けてお話しをさせていただこうと思います。

1.地盤の液状化に関する世の中の動き
 ※本年4月から施行される住宅性能表示制度の見直しについてご紹介します。

2.地盤調査方法
 ※地盤調査はその目的に応じてさまざまな方法があります。それぞれの調査方法の特徴と、
  今住宅地盤に求められている調査方法についてご紹介します。

3.液状化対策工法
 ※建物規模等により適した工法は異なります。また液状化に抵抗する際の考え方も様々です。
  主に住宅で採用されている対策工法についてご紹介します。


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今回は「1.地盤の液状化に関する世の中の動き」についてお話し致します。  これまでは法律等で具体的に液状化に対する検討について明示されていませんでしたが、本年4月1日施行の住宅性能表示制度の見直しにより、地盤の液状化に関する内容が新しく導入されましたので、制度の概要も含め説明いたします。

●住宅性能表示制度とは  住宅性能表示とは、平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく制度で、良質な住宅を安心して取得できる市場の形成を目的としています。  具体的には、住宅を購入しようと思ったとき、以前では家電製品のように各社の性能を比較して検討ができないため、建築主は何をもって「地震に強い家」「省エネの家」なのか判断することが困難でしたが、この制度では住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、メンテナンス性など)に関して、指定評価機関が適正に評価するため、建築主は同じ物差しで住宅を比較できるようになりました。  住宅性能表示制度を利用すると住宅性能評価書というものが発行されます。住宅性能評価書は2種類あり、設計段階にチェックされ発行される設計住宅性能評価書と建設工事・完成段階に発行される建設住宅性能評価書があります。


制度に則って性能評価の認定を受けるかどうかは建築主の任意ですが、認定を受けて建設住宅性能評価書が交付された住宅については、地震保険の優遇の他、万が一、建て主と依頼先の間でトラブルになった場合、指定住宅紛争処理機関に紛争処理を申請することができるなど、様々なメリットがあります。 評価機関に住宅性能評価の申請を行うには、設計図書などの書類を揃える必要があるため、設計を依頼しているビルダーや工務店にあらかじめ相談すると良いでしょう。 ●制度見直しによる液状化に関する内容  東日本大震災で地盤の液状化による被害が相次ぎました。これを受け、国土交通省は専門家への相談や流通時の判断材料として活用できるよう、既存資料や地盤調査の記録などから液状化が起きる可能性や液状化対策の情報の提供を行うことができるという内容を追加しました。  地盤の液状化による被害が多かったということは、これまでビルダー・工務店が建築主に対し液状化による不同沈下の可能性、液状化対策についての情報を伝えていなかったこと、また、建築主自身も液状化が起こり得る土地であることを知らなかったことにも原因があると思います。いくら頑丈な構造で家を建てても地盤が沈下すれば元も子もありません。この制度により建築主は地盤の液状化を考慮した住宅設計を依頼する権利を得たのではないでしょうか。


地盤の液状化についての情報提供の内容は以下のようなものになります。 ① 液状化発生可能性に関する広域的情報   地方公共団体が公表している液状化ハザードマップ、被災履歴等の情報 ② 液状化発生可能性に関する住宅敷地の情報   地盤調査の記録(ボーリング又は、これに準じた方法等の地盤調査から得た液状化発生可能性に関する情報) ③ 液状化対策工法の情報(住宅に対するもの)   杭基礎等、住宅に係る液状化対策として実施する工法


 上記①の既存の情報に加え、上記②では住宅1棟毎にボーリング等により土質を確認した上で液状化の可能性の判断がされますので、かなり信頼のできるものになります。液状化の可能性がある地域では、この制度を利用することにより、安心してその土地での建築を計画することができるのではないでしょうか。 次回は「2.地盤調査方法」ついてご紹介いたします。

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